特定技能で「訪問介護」は従事可能?必須となる研修・実務経験の要件を解説

女性高齢者の居宅で、訪問介護お行い、女性高齢者にお茶を優しく手渡している女性インドネシア人ヘルパーさん

令和7年4月、訪問介護の扉が開かれました

介護業界における有効求人倍率は依然として高く、特に訪問介護(ホームヘルプ)の現場では「ヘルパーの高齢化」「若手不足」が深刻な経営課題となっています。 「外国人の採用を考えたいが、言葉や文化の違う彼らに、一人で利用者様のお宅を訪問させるのは不安だ」 そう感じて二の足を踏んでいる経営者様も多いのではないでしょうか。

実は、令和7年(2025年)4月より、要件を満たした特定技能外国人は訪問系サービスに従事することが可能となりました。 ただし、施設介護とは異なり、利用者様のプライベートな空間で単独業務を行うため、国は「誰でもすぐにできる」わけではない厳格なハードルを設けています。

厚生労働省の特定技能外国人による訪問介護解禁の周知テキスト。「外国人介護人材が訪問系サービスに従事できるようになりました。」
出典:厚生労働省

本記事では、最新の公表資料に基づき、特定技能外国人が訪問介護で活躍するための「具体的な条件」「事業所が準備すべき体制」について、専門家の視点から詳細に解説します。

誰でもできるわけではない?外国人本人に求められる要件

特定技能「介護」の在留資格を持っていたとしても、すべての外国人がすぐに訪問介護を行えるわけではありません。 施設内でのケアとは異なり、訪問先では「マニュアルにない突発的な事態」や「利用者・家族との高度なコミュニケーション」が求められるからです。

そのため、通常の特定技能要件に加え、訪問介護に従事するためには以下の上乗せ要件を満たす必要があります。

訪問介護に従事するための要件構造
区分求められる基準と詳細
【基本】特定技能の共通要件介護技能評価試験および、国際交流基金日本語基礎テスト等(N4相当以上)に合格していることが前提となります。
【必須】訪問系の追加要件1「介護職員初任者研修課程」または「実務者研修」の修了

日本の介護現場における基本的な知識と技術体系を、日本人職員と同様に習得していることが求められます。
【原則】訪問系の追加要件2日本の介護事業所等における「実務経験」

原則として「通算1年以上」の実務経験を有していることが要件となります。

※入国直後の未経験者は、まず施設等で経験を積む必要があります。

実務経験が1年に満たない場合の「例外規定」

実務経験1年未満で従事する場合の条件
条件区分具体的な内容
日本語能力の要件「日本語能力試験(JLPT)N2以上」を有していること。
体制上の配慮事業所は、経験の浅い人材に対して「通常よりも長い同行訪問(OJT)期間」を設定し、より手厚い指導を行うことが求められます。

受け入れ事業所に求められる厳しい要件と体制整備

訪問介護での受け入れにおいて、負担がかかるのは外国人材本人だけではありません。事業所側にも、彼らが安全に働くための環境整備と、第三者機関による確認が義務付けられています。

特に重要なのが、従事開始前に公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)へ「適合確認申請」を行い、確認書の発行を受ける必要がある点です。

事業所が遵守すべき5つの管理体制
項目具体的な実施内容
1. 研修の実施訪問介護の業務の基本事項(接遇、日本の生活様式、緊急時対応など)に関する研修を実施します。
2. OJT(同行訪問)サービス提供責任者等が同行し、マンツーマンで指導を行います。「一人で適切に業務ができる」と事業所が判断するまで、一定期間継続する義務があります。
3. 説明と同意外国人が訪問することについて、事前に利用者様およびご家族へ説明を行います。重要事項説明書等にその旨を明記し、書面での署名(同意)を得なければなりません。
4. ハラスメント対策訪問先でのハラスメントを防止するため、対応マニュアルの作成や相談窓口の設置などを行い、孤立を防ぐ体制を構築します。
5. ICT連絡体制管理者が不在の「密室」で働くリスクを軽減するため、スマートフォンやタブレット等の活用が必須です。不測の事態に備え、緊急連絡体制を整備します。
厚生労働省の特定技能外国人材による、訪問系サービスについての改正の概要等。
出典:厚生労働省

現場で迷わない!訪問介護で「できること」と「できないこと」

特定技能外国人の業務範囲は、基本的に日本人ヘルパーと同様ですが、外国人材特有の制限や、訪問介護という性質上の注意点が存在します。ここを誤るとコンプライアンス違反となりますのでご注意ください。

特定技能外国人の業務範囲一覧
区分具体的な業務内容と注意点
できること(基本業務)身体介護および生活援助

入浴、排泄、食事介助、清掃、洗濯、買い物代行など、訪問介護計画書に記載された業務全般を行うことができます。
条件付きでできること一部の医療的ケア(喀痰吸引等)

日本人と同様に、基本研修および実地研修を修了し、認定特定行為業務従事者としての認定証の交付を受けていれば実施可能です。
できないこと(禁止事項)単独訪問(OJT完了前)

たとえ有資格者であっても、事業所が「技能習得済み」と判断する前の単独訪問は禁止されています。


契約外のサービス提供

利用者の家族への食事提供、草むしり、ペットの世話など、介護保険外かつ計画書にない業務は行えません(※これは日本人職員も同様ですが、外国人材は断り切れず引き受けてしまう傾向があるため要注意です)。


風俗営業関連等への従事

キャバクラやパチンコ店など、風俗営業法に関連する施設での業務や、本来の介護業務とかけ離れた接待業務等は、在留資格の活動範囲外となり厳禁です。

従事開始までの具体的な流れ

実際に特定技能外国人に訪問介護を任せるまでは、以下のような段階的なプロセスを踏む必要があります。

1. キャリアアップ計画の作成と合意

本人に対して訪問介護の業務内容を丁寧に説明し、意向を確認します。その上で、将来の目標(介護福祉士取得など)を含めた「キャリアアップ計画」を共同で作成します。

2. JICWELSへの適合確認申請

事業所は、訪問系サービスに従事させる前に、国際厚生事業団(JICWELS)へ申請を行い、「適合確認書」の交付を受けます。これは受入れ体制が整っているかのお墨付きを得る手続きです。

3. 利用者への説明と同意取得

サービスに入る予定の利用者様へ説明を行い、同意書に署名をいただきます。

4. 同行訪問(OJT)の開始

サービス提供責任者が同行し、現場での指導を行います。期間の定めはありませんが、利用者との関係構築や技能習得状況を見極め、慎重に独り立ちの判断を行います。

トラブルを防ぐために!運用上の注意点

最後に、雇用後のトラブルを未然に防ぎ、適正な運用を続けるためのポイントをお伝えします。

巡回訪問等への協力義務

JICWELS等の実施機関は、適合確認後も定期的に事業所を訪問(巡回指導)し、遵守事項が守られているかを確認します。これに対する協力は必須であり、不適切な運用が発覚した場合は指導の対象となります。

無理な単独訪問はさせない

「人が足りないから」といって、OJTが不十分なまま単独訪問をさせることは絶対にあってはなりません。特にN2保持者であっても、日本の住宅事情や介護手順に慣れるまでは十分な同行が必要です。

異文化理解の促進

利用者様に対し、事前に「一生懸命勉強中ですが、文化の違いがあるかもしれません」と丁寧に伝え、理解者(サポーター)になってもらうような働きかけを行うことが、現場のトラブルを回避する鍵となります。

まとめ

特定技能外国人の訪問介護への従事は、「初任者研修 + 実務経験1年(またはN2以上)」 という明確な基準が設けられています。 ハードルは高いですが、これは「外国人スタッフを守り、事業所を守り、利用者様を守る」ための必要な措置です。

業務範囲を正しく理解し、ICTやOJTなどの体制を整えれば、彼らは人手不足にあえぐ訪問介護事業所にとって、かけがえのない戦力となります。

制度は複雑ですので、自社だけで判断するのが不安な場合は、制度に詳しい登録支援機関や行政書士などの専門家にご相談されることをお勧めします。正しい知識で、安定した採用への第一歩を踏み出しましょう。

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